膀胱がん
■膀胱がんとは
<高齢の男性は特に要注意のがん>
膀胱がんは膀胱の粘膜に発生する悪性腫瘍のことで、50代以降の男性が多く罹患するがんです。
男女罹患率でいうと、男性が女性の3倍罹患しやすいといわれております。
膀胱がんは年間23,000人(2017年)罹患し、8,500人(2018年)の方が亡くなっていますが、2つの内訳はそれぞれ男性が女性の2~3倍ほど多くなっています。
■原因
<喫煙と化学物質への接触が大きな要因>
膀胱がんの罹患リスクを大きく上昇させる要因の一つにタバコが挙げられます。
これはその他のがんにも当てはまる要因ですが、膀胱がんにおいては50%以上が喫煙によるものというデータもあるようです。
それ以外には、アニリン色素やベンチジン、ナフチラミンといった工場で使用される化学物質への日常的な接触や糖尿病の罹患も関係するといわれています。
■症状
<痛みのない血尿が大きな特徴>
その他のがんと比較すると初期症状が出やすく、最も分かりやすいものでは痛みを伴わない血尿が挙げられます。
それ以外には排尿時の痛みや頻尿、抗生剤を使用しても完治しない膀胱炎がある場合には膀胱がんである可能性があります。
■予防
<第一に禁煙を>
膀胱がんの罹患における最大要因はタバコであるため、喫煙者は禁煙から始めましょう。
また、先述の化学物質に触れる機会のある職業従事者はマスクやゴーグルといった防護用品を身に着けるだけでなく、定期的な検尿などの検査を受診するとよいでしょう。
■検査・治療
まず、尿中に含まれる細胞を採取しがん細胞の有無を調べる尿細胞診検査が行われます。
また内視鏡を用いてがんの有無や大きさ、位置などを確認する膀胱鏡検査や、がんの広がりを確認するためにT検査やMRI検査といった画像検査が行われます。
治療においては、早期であれば膀胱のがんを取り除くTURBTという内視鏡手術を実施し、がんの完全な切除を目指します。
1時間程度で終わる比較的ダメージの少ない手術ですが、がんの再発を防止するために膀胱に抗がん剤やBCGと呼ばれるワクチンを注入する場合もあります。
一方、より進行している場合には、膀胱をすべて摘出したうえで、尿路を変更する比較的大がかりな手術が実施されることがあります。
遠隔転移などにより手術が難しい場合は、放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法を施されます。
■予後
がんの予後については5年生存率という数字で表されることが多く、膀胱がんにおいてはI期で約88%、II期で約59%、III期で約45%、IV期で約19%になります。
どのがん・どの病気でも共通して言えることではありますが、早期発見・早期治療あるいはそもそも病気にかからないように予防することが大切です。
膀胱がんの場合、まずはタバコを控えること、50代以上になったら定期的な検診を受診することを心掛けましょう。