脳梗塞
■脳梗塞とは
脳梗塞は脳の血管に異常が発生する「脳卒中」に含まれる病気の一種で、脳内の血管が詰まることで脳細胞が損傷する病気です。
血管が詰まり血液が通わなければ脳細胞が壊死してしまうため、様々な症状が現れます。
脳梗塞による死亡者数は年間62,000人(2017年)を超え、脳卒中に該当する病気のおよそ70%を占められ、血管の詰まり方によって「アテローム血栓性脳梗塞」「ラクナ梗塞」「心原性脳塞栓」の3つに分類されます。
当該病気を含めた脳血管疾患は、がんと心疾患と並び三大死因の一つに数えられます。
■原因
<動脈硬化と不整脈が大きな原因>
脳梗塞の大きな要因として挙げられるのが動脈硬化です。
動脈硬化は不適切な生活習慣で発生し、血管が固くなることで血流が悪くなった状態を指します。
これによって、血栓が形成されやすくなり、血管が詰まりやすくなるということです。
この不適切な生活習慣というのは、喫煙や塩分摂取過多、運動不足、カロリー過多などが挙げられ、結果的に高血圧や肥満、脂質異常症や糖尿病といった病気につながってしまい、これらを放置しておくと動脈硬化につながります。
また、心房細動という不整脈により、本来は規則正しく拍動している心臓のリズムが乱れることで、心臓内に血栓ができやすくなります。
この血栓が心臓からの血流にのって脳の血管を詰まらせてしまうこともあります(新原生脳塞栓)。
■症状
<突然襲ってきて、後遺症や死に至る場合も>
手足の麻痺やしびれ、吐き気・嘔吐、歩行障害やろれつが回らないなどの言語障害などの症状が現れます。
症状が深刻な場合、身体に後遺症が残る場合もあります。これらの症状は突然現れることが多い点も特徴です。
症状が大きく進行している場合などでは死に至る可能性もあります。
■予防
<動脈硬化を防ぐための食事を>
罹患原因の大半を占める動脈硬化を防ぐことが、脳梗塞を予防するうえで重要になります。
動脈硬化は高血圧や脂質異常症、糖尿病などといった病気と大きく関係しているため、野菜や果物を摂る、塩分・糖質を控える、暴飲暴食しないといった健康的な食事を心掛けることが大切です。
また、喫煙や運動不足といった習慣も動脈硬化のリスクですので、注意しましょう。
なお、心房細動などの不整脈が心原性脳塞栓を引き起こすので不整脈を放置せず、医療機関を受診することも大切です。
■検査・治療
検査は頭部CT検査や頭部MRIといった画像検査を用い、脳梗塞を発症しているか否か、どういったタイプの脳梗塞であるかを調べます。
また、血管の様子を立体画像化するMRA検査を用いて、血管の状態をより詳細に調べることもあります。必要に応じて心臓や血液の検査も実施されます。
治療法は基本的に「薬物療法」です。
脳梗塞を発症して4.5時間以内であればt-PAと呼ばれる血栓を溶かす薬物が投与されます。
その他にも抗血小板薬や抗凝固薬と呼ばれる薬物を投与し、血液が固まって血栓ができるのを防止したり、脳保護薬や脳の浮腫防止の薬を投与したりすることもあります。
症状の進行度によっては、身体に後遺症が残ることがあります。その場合はリハビリテーションを実施し、日常生活への復帰を目指すことになります。
■予後
脳梗塞を含めた脳卒中に罹患する人は年間29万人(2011年)で、その半数以上は死亡もしくは介護必須の状態に陥るとのデータもあります。
脳細胞は一度壊死すると再生しないため、発症を防ぐためには、日ごろから食事や運動・禁煙などをはじめとした規則正しい生活を送ることが重要になります。