慢性閉塞性肺疾患(COPD)

■慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは 

 慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease、肺がたばこの煙などに含まれる有害物質に長期間晒されることで炎症が発生し、呼吸障害が生じる病気です。

 

 国内における治療中の患者数は約26万人で、男性が約18.3万人、女性が約7.9万人(いずれも2014年)となっていますが、症状を自覚していない罹患者を含めると推計500万人以上いると考えられており、40歳以上の8%以上はCOPD有病者と推計されています。

 

 また年間1.8万人の方がCOPDで亡くなっており、日本人の死因第8位(2017年)に位置しています。

 

 


■原因 

<喫煙が最大要因> 

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の罹患リスクを上げる最大の要因は喫煙になります。

 

 たばこを吸うことで有害物質が体内に取り込まれ、気道・肺胞に炎症を起こしてしまうのです。

 

 また、非喫煙者の場合でも、周囲の煙を意図せず吸い込む(受動喫煙)ことで、罹患リスクが上昇します。

 

 汚れた空気を吸うことで発症するということでタバコ以外の大気汚染や特定の職業で粉塵を吸い込んでしまうことが原因になり得ますが、日本では患者の90%が喫煙者・元喫煙者です。 

 

 また、喫煙者のおよそ20%が慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患するといわれています 

 

 


■症状 

<咳や痰、呼吸が苦しくなるといった呼吸障害> 

 気道に炎症が発生するため、咳や痰が頻繁に発生したり、ちょっとした運動で呼吸が苦しくなったり(息切れしたり)する症状が見られます。

 

 それ以外には「ヒューヒュー」といった通常時では聞かれない呼吸音や体重減少、頭痛などが生じます。 

 

 また、インフルエンザや風邪などの呼吸器感染症をきっかけに急激に症状が悪化する「急性増悪」ということが起こることもあります。

 

 この「急性増悪」を機に、一段と呼吸機能が低下していきます。 

 

 またCOPDを発症した多くの方は長年の喫煙歴があるため、肺がんを始めとした各種のがんを引き起こす可能性が高いです。

 

 特に肺がんは、COPDの患者はそうでない方の5倍リスクがあると言われております。 

 

 


■予防 

<禁煙が第一> 

 罹患する最大の原因であるたばこを止めることが最重要です。

 

 一度、破壊されてしまった肺は元には戻りませんが、禁煙をすることで悪化のスピードを抑えることができます。

 

 また非喫煙者の場合は、たばこの多い環境に長時間留まらない、副流煙を避けるといった対策が必要になるでしょう。 

 

 


■検査・治療 

<進行すると酸素吸入が常に必要に> 

 検査においては、肺の呼吸機能を確かめるスパイロメトリー検査(いわゆる肺活量の検査)が実施されます。

 

 これは、通常の呼吸を確認したり、思いっきり吸ったり・吐いたりすることで、肺活量や肺の機能を確かめるものです。 

 

 治療においては、まずは禁煙です。

 

 喫煙を継続すると、肺機能の更なる悪化は避けられません。

 

 また、肺の機能を補助するために腹式呼吸や口すぼめ呼吸などの呼吸器のリハビリが実施されます。

 

 加えて、気管支を拡張する目的で、β2刺激薬や抗コリン薬といった薬物を用いた治療法が行われます。

 

 さらに、肺のガス交換の機能が著しく低下している場合などは在宅酸素療法(HOT)という、持ち運びの酸素ボンベのようなもので常に酸素を吸入しながら生活する治療が必要になります。 

 

 


■予後 

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の5年生存率はⅠ期で約90%、Ⅱ期で約80%、Ⅲ期で約60%ほどとも言われております(2003年の報告)

 

 一度炎症を起こし破壊された肺の組織は元に戻りませんので、禁煙でこれ以上症状を悪化させないことや、急性増悪を引き起こすような呼吸器感染症を予防することが求められます。