子宮体がん
■子宮体がんとは
<50~60代で発症のピークを迎えるがん>
子宮がんとは子宮の内膜に形成される悪性腫瘍のことです。
体がんと頸がんに分類される子宮がんは女性特有のがんで、罹患者数は5位(2017年)と年間27,000人ほどが罹患、6,000人が死亡しています。
ちなみに、子宮の内膜ではなく子宮の筋肉に発生する腫瘍のことは子宮筋腫(良性)、子宮肉腫(悪性)と呼ばれ、別の病気です。
子宮頸がんは現在20代~40代の方が発症のピークとなっていますが、子宮体がんは40代後半以降、特に50~60代で最も発症する傾向があるようで、この点は大きな違いです。
■原因
<女性ホルモンが大きく関係>
子宮体がんは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく関わっています。
出産経験がない、閉経が遅い、月経不順、肥満などによって、エストロゲンが長期間分泌されていることで罹患リスクが上昇するといわれています。
一方、エストロゲンとは関係ない原因もあり、糖尿病やリンチ症候群と呼ばれる遺伝的素因が原因となることもあります。
■症状
<初期症状が出やすい>
子宮体がんは初期症状が出やすく、不正出血や排尿時・性交時の痛み、下腹部痛などが生じます。
がん細胞がその他臓器に転移した場合、例えば肺であれば呼吸が苦しくなるといった、転移先の臓器に応じた症状が出るようになります。
気になる症状が出現したら、婦人科を早めに受診しましょう。
■予防
子宮体がんにおいては、食生活の欧米化や運動不足といった生活習慣が関わっているといわれております。
また、肥満がリスクをあげるといわれているので、生活習慣を見直してみましょう。
そして、自治体によっては子宮体部からの細胞診の検診を行っているところもありますので受診してみてはいかがでしょうか。
■検査・治療
子宮の入り口や周辺などを直接触れて確認する内診・直腸診を行うほか、がん細胞が本当に存在しているのかどうかを確認するために子宮内の細胞を採取する細胞診が行われます。
子宮体がんと診断された場合は、がんの位置や大きさなどを詳しく調べるためにCT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査などの画像検査が実施されます。
治療は大きく3種類存在します。
がんが他臓器などに転移していない場合や患者に手術を受けられる体力があれば「外科手術」という選択肢が取られます。
基本的には子宮の全摘と両方の卵巣・卵管を切除する手術が行われます。切除する範囲は病気の進行度により異なります。
がんが遠隔転移している場合など、手術での治療が行えない場合などには「化学療法」が行われることになります。
また、がん細胞の死滅や症状の緩和などを目的として、外科手術や化学療法と併行して「放射線療法」も実施されることもあります。
上記のような治療法が実施されますが、早期の段階では子宮を温存するためにホルモン療法を実施することもあります。
しかし、副作用や根治性などの問題もあるため、自身の意向や体調も含めて、主治医とよく相談することが大切です。
■予後
がんの予後については5年生存率という数字で表されることが多いです。
子宮体がんにおいてはI期であれば約96%、II期で約91%、III期で約72%、IV期で約22%になります。
どのがん・どの病気でも共通して言えることではありますが、早期発見・早期治療あるいはそもそも病気にかからないように予防することが大切です。