肝臓がん

■肝臓がんとは

<2種類のがんがあり、男性に罹患者が多い傾向>

肝臓がんは肝臓に発生する悪性腫瘍のことで、その部位によって肝細胞がん・肝内胆管がんに分けられます。

 

世界を見ても、後述のウイルス性肝炎が流行した日本を含む東アジアやアフリカで多く見られ、2019年度の最新がん統計によると、肝臓がんによる死亡数は全がんの中で男性が5位、女性では6位、で、男性が発症する可能性が高いです。

 

 


■原因

<大半はB・C型肝炎が原因>

肝臓がんに罹患する8割以上の方は、B型・C型肝炎や肝硬変が原因といわれています。

 

ウイルス性肝炎として日本国内では多い感染症で、B型肝炎は110-140万人、C型肝炎は190-230万人と推定されています。

 

これは日本人の約40人に1人がウイルス性肝炎に感染していることに相当します。現在、肝臓がんで年間約3万人が死亡していますが、その原因の約70-80%はB型・C型肝炎由来で、約60-70%がC型肝炎、10-15%がB型肝炎に由来します。

 

B 型慢性肝炎患者を経過観察すると、年率約0.5%の発がん者がみられ、10年後には5%の患者に肝臓がんがみられます。C 型慢性肝炎患者では、年率1%強で10年後には13%に発がんがみられ、年数が経過するとともに発がん率は上昇することが分かっています。

 

なお、年齢が高くなるにつれ、肝炎ウイルスの感染率も高くなっていきます。例えば、C型肝炎ウイルスで見ると、60代前半まで0%台であるのに対し、65~69歳では1.1%、70~74歳では1.7%と急激に上昇しています。それに伴い、肝臓がんの罹患率は年齢の上昇とともに増加するのです。

 

それ以外にも過度の飲酒によって生じるアルコール性肝障害や喫煙、脂肪肝といった生活習慣が原因となる場合もあります。

 

 


■症状

<初期症状がほとんどなく沈黙の臓器と呼ばれる>

肝臓はすい臓とともに「沈黙の臓器」と呼ばれ、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、症状が現れる頃にはがんがかなり進行していることが多いといわれています。

 

がんが進行し肥大化すると、右の脇腹やみぞおちに痛みを感じることや倦怠感、食欲不振、腹水、黄疸によるかゆみが生じます。

 

 


■予防

<まずはウイルス肝炎の予防から>

大半はB・C型肝炎が原因となっているため、これらのウイルス性肝炎に罹患しないように予防することが大切になります。万一、罹患している場合は治療を実施することで罹患リスクを下げることが出来るでしょう。

 

また、生活習慣が起因する場合もありますので、過食や過度の飲酒を控えたり、定期的な運動を実施したりすることを心掛けることが大切です。

 

 


■検査・治療

<治療はがんの状態によって決定>

検査には血液検査、画像検査などがあります。

 

血液検査では、B・C型肝炎の感染チェックを含めた検査を実施し、肝臓に異常がないかを調べるものです。

 

また、採血で腫瘍マーカーを確認します。腫瘍マーカーとはがんが生みだす物質のことを指しますが、がんになるとその数値が高くなるため、肝臓がんを含めた多くのがんで検査に取り入れられています。

 

画像検査ではまず超音波検査が挙げられますが、これはお腹に超音波を当て、反射の程度を見て臓器の状態を調べることが出来ます。

 

患者さんの負担も少なく、比較的簡単に行える検査です。また、がんの疑いがあると診断された場合、CT検査やMRI検査を実施し、より詳細な検査を行います。

 

肝臓がんの治療法については「外科手術」、腫瘍を電波で壊死させる「ラジオ波焼灼療法」、がんに栄養が送られないよう血流を止める「動脈塞栓術」、「薬物療法」が挙げられ、場合によっては「肝移植」が行われることもあり、これは肝臓の機能具合やがんの大きさや個数、進行度によって変わります。

 

 


■予後

がんの予後については5年生存率という数字で表されることが多く、肝臓がんにおいてはI期であれば約60%、II期で約44%、III期で約14%、IV期で約3%で、再発リスクも高く、生存率もその他がんと比較すると低い値となっています。

 

どの癌・どの病気でも共通して言えることではありますが、早期発見・早期治療あるいはそもそも病気にかからないように予防することが大切です。まずは定期的ながん検診の受診など、できるところから始めていきましょう。