多発性骨髄腫

■多発性骨髄腫とは 

<60代以上に多く発症・今後も罹患者数の増加が予想される血液がん> 

 多発性骨髄腫は血液の細胞の一つである形質細胞という細胞の悪性腫瘍で、血液がんの一種です。

 

 形質細胞はリンパ球の1つであるB細胞とよばれる免疫細胞から分化してできる細胞で、身体をウイルスや細菌などから守る抗体を作る働きを持ちますが、この細胞ががん化することで本来の機能が消失し、身体に様々な異常が現れるようになります。 

 

 日本では年間5,000~6,000人ほどが罹患しており、死亡者数は4,000人ほどに上りますが、多発性骨髄腫は高齢者が発症しやすい病気であるため(40歳以下での発症は非常にまれ)、高齢化が進行する日本でこの数値は増加すると見込まれています。 

 

 


■原因 

<明確な原因は不明> 

 多発性骨髄腫は遺伝子や染色体に異常が生じることで発生しますが、その原因は明確に解明されていません。

 

 しかし、放射線被ばくや家系の遺伝、発がん性のある化学物質への接触、罹患者に男性が多いため、性別も関係しているのではないかといわれています。 

 

 


■症状 

<造血機能への影響や腎障害など> 

 初期症状はほとんどありませんが、もっとも多くの方が自覚する症状は骨の痛みです

 

 血液を作る機能が障害されるため、白血球の低下による易感染性(感染症にかかりやすくなる)、赤血球の低下による貧血(立ちくらみや動悸など)血小板低下による出血傾向(鼻血・歯ぐきからの出血やアザなど)認めらます。 

 

 また、が溶けやすくなり血液にカルシウムが溶け出すことで骨折しやすくなったり、高カルシウム血症による嘔吐や便秘も認められます。

 

 その他にも、腎障害や血液がドロドロになることなどがあります。 

 

 


■予防 

<定期的な検診で早期発見を> 

 多発性骨髄腫は遺伝子や染色体の異常にとって罹患することが分かっていますが、その原因は明らかにされていません。

 

 多くは60歳以上で発症しますが、採血や尿検査などを定期的に受けることで早めに異常所見を見つけられるよう心掛けるほか、何か症状があれば早めに受診するようにしましょう。 

 

 


■検査・治療 

 検査においては、尿中に異常なタンパク質がないかを調べる尿検査や赤血球、ヘモグロビン、白血球などの状態を調べる血液検査、骨や臓器の状態を画像化するCT検査やMRI検査などが実施され、多発性骨髄腫か否か、さらにはその他臓器にがんが広がっていないかを詳しく調べます。 

 

 治療においては、基本的に「化学療法」が用いられます。罹患者の状態や意向、効果や副作用などを総合的に判断し、抗がん剤やステロイド、特定の分子に攻撃する分子標的薬といった薬物を組み合せ、治療を進めます。 

 

 それに加え、主に65歳未満の患者さんを対象に「自家造血幹細胞移植」という手法が取り入れられることがあり、これは予め罹患者の造血幹細胞を採取・保存しておき、体内の骨髄腫細胞を死滅させたあとで、保存しておいた造血幹細胞を体内に戻すというものです。 

 

 


■予後 

 がんの予後については5年生存率という数字で表されることが多く、多発性骨髄腫は血液中のアルブミンとβ₂ミクログロブリンという物質の量によって、ステージⅠ~Ⅲに分けられ、ステージⅠは80%、ステージⅡで62%、ステージⅢで40%ほどになっています。 

 

 どのがん・どの病気でも共通して言えることではありますが、早期発見・早期治療あるいはそもそも病気にかからないように予防することが大切です。

 

 まずは、定期的に検診を受診することから心掛けましょう。