膵炎
■膵炎とは
膵炎はすい臓に炎症が生じる病気で、「急性膵炎」と「慢性膵炎」の二つに分類されます。
それぞれ病状や原因などが異なるため、病状に合わせた対応が必要になってくる病気です。
「急性膵炎」の場合、重症化すると死亡率が10%を超えるといわれますし、「慢性膵炎」の場合はすい臓がんに罹患する確率が健常者と比較し2倍にもなるという報告もあります。
罹患者はいずれも男性の方が多くなっている点も留意しましょう。
■原因
<飲酒が大きな要因>
「急性膵炎」と「慢性膵炎」の大きな原因となるのは飲酒で、それぞれ全体の40%と70%の割合を占めています。
ただし、詳細にみていくと微妙に異なっており、例えば「急性膵炎」においては、女性は胆石が臓器に詰まることで発症する事例が多く見られます。
一方で「慢性膵炎」においては、女性が罹患する要因の約50%は原因不明で突発的に生じるものです。
■症状
<大きく異なる症状>
同じ膵炎でも症状は大きく異なってきます。
「急性膵炎」の場合、みぞおちから背中周辺にかけて激しい痛みが発生、吐き気・嘔吐、食欲低下といった症状が見られます。
また、腹膜炎や腸閉塞を起こし、血圧低下・呼吸障害などが発生し、生命の危機にかかわる場合があります。
「慢性膵炎」の場合、発症から5~10年ほどはみぞおちから背中周辺にかけて痛みが生じますが、これ以降になると、細胞の破壊が進行することで痛みが生じなくなることが多いです。
また、すい臓の機能が低下し、インスリンが正常に分泌されなくなった結果、糖尿病を引き起こす場合もあります。
■予防
<アルコールを控えた生活を>
膵炎はいずれもアルコールの過剰摂取が原因で発症するケースが多いため、普段の生活から飲酒を控えたり、飲酒量を減らしたりする取り組みが有効です。
また、脂肪分の多い脂っこい食べ物も膵炎を引き起こす要因の一つといわれていますので、バランスの良い食事を心がけることも重要になってくるでしょう。
■検査・治療
<急性膵炎>
検査においては、血液検査や尿検査でアミラーゼやリパーゼの数値が高くなっていないか、CT検査やMRI検査といった画像検査ですい臓に炎症が発生していないかなどを確認し、「急性膵炎」であるかを診断します。
治療においては、入院したうえですい臓の回復を図るために、絶飲食及び点滴を行います。
これはすい臓へ負担をかけないということと、絶飲食で不足する栄養分を補う意味があります。
重症児の場合、抗菌薬を投与したり、周囲の臓器に炎症が拡大し細胞が壊死している場合は外科手術を実施したりします。
<慢性膵炎>
検査においては、まず問診で「慢性膵炎」の傾向がみられるかを確認し、その後血液検査や尿検査を実施します。
それに加えて、CT検査やMRI検査といった画像検査を実施し、すい臓の状態を確認します。
治療においては、低脂肪の食事や禁煙を取り入れるといった生活習慣の改善から実施していきます。
症状を抑えるために、消化酵素薬やタンパク質分解酵素阻害薬といった薬物の投与などを行う場合もあります。
なお、インスリンが正常に分泌されなくなっている場合、インスリン療法を取り入れる場合があるでしょう。
■予後
膵炎は「急性膵炎」「慢性膵炎」のいずれも放置をしておくと危険な症状を引き起おこす病気で、一度引き起こしたら、医師の指導の下、生活習慣を改善することが重要です。
すべての病気にいえますが、定期的に検診を受診し、自身の身体を正確に把握しておくことが望まれます。