ウイルス性肝炎(B型・C型肝炎)
■ウイルス性肝炎とは
ウイルス性肝炎は肝炎ウイルスが原因で肝臓に炎症が生じ、肝臓の細胞が破壊される病気です。
ウイルス性肝炎には種類があり、A型、B型、C型、D型、E型などに分類されますが、本ページでは特に、肝臓がんの原因となる肝硬変を引き起こすB型肝炎及びC型肝炎を取り上げます。
日本国内における罹患者数はB型肝炎で約130~150万人、C型肝炎で150~200万人程度と推計されており、これら二つの感染症は国内最大の感染症といわれているのです。
■原因
<いずれも血液や体液を通じた感染>
B型肝炎及びC型肝炎はいずれも、肝炎ウイルスに罹患した人の血液や体液を通じて感染することが分かっています。
例えば、ウイルス感染者との性交渉や注射器、輸血の再利用などが挙げられます。血液や体液に触れないようにする以外に感染することはありません。
■症状
<いずれも風邪に似た症状が現れるも>
B型肝炎及びC型肝炎はいずれも、倦怠感や食欲低下、吐き気・嘔吐といった風邪に似た症状が現れます。
そのため、風邪と勘違いされやすいのも特徴です。しかし、ごくわずかに劇症肝炎といった死亡率の高い病気や肝硬変などに発展する場合があります。
■予防
<B型肝炎>
B型肝炎にはワクチンが存在するため、ワクチンを接種することで予防することが可能です。
また、普段から血液や体液に触れないようにすることが重要ですので、性交渉時はコンドームを着用、他人の血液や体液がついたものを使用しないなどを心掛けましょう。
<C型肝炎>
C型肝炎にはワクチンが存在しないため、血液や体液に触れないようにすることが最重要です。
B型肝炎と同様に性交渉時はコンドームを着用、他人の血液や体液がついたものを使用しないなどが必要になります。
■検査・治療
<B型肝炎>
B型肝炎の原因となるHBVというウイルスに感染しているかを確認するために、「HBs抗原検査」「HBs抗体検査」などに代表される血液検査を実施します。
また、肝臓に炎症が発生しているかを調べるために、腹部超音波(エコー)検査やMRI検査といった画像検査が行われる場合もあります。
治療においては、自然治癒で回復する場合を除いて、抗ウイルス療法が実施されます。
主にインターフェロン注射薬や核酸アナログ製剤という薬物を用いて、ウイルスの増殖防止を目指します。
<C型肝炎>
C型肝炎の原因となるHCVというウイルスに感染しているかを確認するために、「HCV抗原検査」「HCV抗体検査」などに代表される血液検査が実施されます。
また、B型肝炎と同様に、肝臓に炎症が発生しているかを調べるために、腹部超音波(エコー)検査やMRI検査といった画像検査が行われる場合もあります。
治療においては、様々な薬剤を用いたインターフェロンフリー治療が広く拡大しています。
これはダクラタスビル及びアスナプレビルをいう内服薬を併用するもので、注射を必要としない治療法です。
2014年に認可されてから、後続の薬物も登場しており、今後も改良が行われていくでしょう。
■予後
ウイルス性肝炎は自覚症状が出にくく、風邪と勘違いしてしまう場合が多いといわれています。
自然治癒する事例が大半ですが、劇症肝炎や肝硬変などを引き起こす場合があり、その結果その他病気に繋がる恐れも否めません。
そのため、定期的に検診を受診することで、早期発見・早期治療を目指すことが求められます。